The side of Paradise ”最後に奪う者”
およそ定時とは縁の無い生活を知っているだけに、その発言に涼はカチンと来た。
綺樹は答えも待たずに、立ち去っていく。
引き止める言葉を捜す内に、あっという間に人混みに紛れてしまった。
残された涼は飲まずにいられなかった。
今日までの会えない日々は、それはそれで悩まされたけど。
側にいた今日はそれ以上だ。
気持ちが彼女に向かって加速する。
でも彼女は違う。
全然、彼女には熱が無い。
男として見ていない。
ウィスキーのグラスをがぶ飲みした。
記憶が戻らない今と昔と、そんなにも自分は変わったのだろうか。