The side of Paradise ”最後に奪う者”

   *

次の日は帰国だった。

朝一でさやかの所へ挨拶に行く。


「何か進展はあったかしら」

「いいえ。
 残念ながら僕の記憶の戻りも、彼女の態度も何も」


さやかはくすりと笑った。


「あなたの気持ちは大きく進展したようね」


涼は暗い表情になった。


「僕は以前とそんなに変わりましたでしょうか」

「なぜ、私に聞くのかしら?」

「一番鋭く、的確に答えてくださる」


さやかはしばらく涼の顔を見つめていた。


「変わったのは・・。
 綺樹かしらね」


それは思いがけない言葉だったが、続いて語られた事実はもっと予想外だった。
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