The side of Paradise ”最後に奪う者”
「そうですか、お気をつけて」
書類に視線を戻して、手を動かす。
「クリスマス休暇に今度は日本にいらっしゃいませんか?
日本のお正月も風流です」
「興味ありません」
涼は感情がほとばしりそうで口をつぐんだ。
ばさばさとダンボールに書類が投げ入れられる音が響く沈黙に、綺樹は視線を上げた。
「お元気で」
部屋を出るしかなかった。
涼は無言で出て行った。
綺樹はまた書類を手に取る。
ああいう感は無くならないんだな。