The side of Paradise ”最後に奪う者”
食い止める方法が何も無い。
一度契約締結で顔を合わせたビジネス相手でしかない。
記憶が戻らなくても、元夫の立場を利用して無理やり連れてきて閉じ込めてしまおうか。
涼は片手で額を覆った。
何を考えているんだ。
それは誘拐監禁で犯罪だ。
自分の思考がおかしくなっている気がした。
仕事をしよう。
頭を切り替えるために、まず上がってきている郵便物を手に取る。
義理で入ったカード会社の会報誌があった。
今度会ったときの話題にぱらぱらと流し読む。
涼がコーヒーにむせかえっている。
ガラス壁越しに気が付いた成介は部下にタオルを用意させた。