The side of Paradise ”最後に奪う者”
「変なことには使わないで下さいよ」
そのすれすれの軽口に涼が吠えた。
「何に使うんだよ」
執務室のドアが叩き閉められた。
全く。
仕事にならなくて困る。
成介はやれやれとため息をついて電話を手に取った。
「成介?どうしたの?
元気?」
綺樹が笑った。
「そうでもありません。
お盆までは社長はルンルンで仕事がこの上なくはかどったのですが、帰ってきてから能率が上がらないこと。
年末の誘いを断わられたというので、社長室が暗くて、秘書室の連中までうつ病になりそうです」
綺樹はからからと笑った。
「おまえは相変わらずだね。
そっちは楽しそうだ」