The side of Paradise ”最後に奪う者”
「随分、思い切りましたね」
「そうか?
別に減るものじゃないし。
まあ、何か残しておくのも悪くないし」
うわあ、嫌な台詞だ。
成介は顔をしかめた。
この人は自分の寿命を推し量っている。
「いえいえ、こっちの神経が磨り減るんです」
綺樹がまた笑った。
「どうしたの、成介?
今日は絡むね」
成介はまじめな声になった。
「なんとかなりませんか」
「何が?」
「年末です」
綺樹は黙り込んだ。