The side of Paradise ”最後に奪う者”
「さやかもだろ。
クリスマスはフェリックスと過ごさないと」
和が生まれてからはフェリックスが週末ごとにNYにきていた。
だから綺樹は気に入っていたペントハウスを出た。
当主の両親が住むのが妥当だ。
そうだけれど、正直、応えた。
色々と詰まっている思い出が、いつのまにか知らぬ部分で自分を支えていたことに気づいて。
「そうね」
綺樹は少し眉をひそませた。
「フェリックスとなにかあった?」
さやかは微笑した。
「あるわけないでしょう。
そうね。
そうしましょう」
綺樹はなんとなく腑に落ちない気分だった。