The side of Paradise ”最後に奪う者”

「私も怜に会っていこうと思って。
 まだ和と会っていないのよ」


まあさやかと一緒だと楽しいだろう。

フェリックスはちらりと妻を見ただけだった。


「じゃあ、そうしようか」


さやかは綺樹の返事ににっこり笑い、フェリックスは妻が企んでいることを見透かしてちょっとだけ眉をひそませた。

先に寝ると言って綺樹が寝室に引き上げると、二人の間に微妙な沈黙が漂った。

口火を切ったにはフェリックスだった。


「なぜあの男に似た別人が現れないんだ?」


さやかの口元がほころんだ。


「現れたわ」


フェリックスは問うように片眉を上げた。
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