The side of Paradise ”最後に奪う者”
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病院で叔母に会うと、涙を流して喜ばれた。
「ありがとう」
従兄弟の達馬に礼を言われて肩をすくめた。
「この顔がこんなに役に立つとは思わなかった」
小さい頃から時々会っている年上の従兄弟は、彼女が本当に母親にそっくりで、妖しい美人になってきたことは言わずに笑った。
この後はさやかに付き合って日本でのあいさつ回りをし、NYに発つ予定だった。
休職中というよりも、ダバリードによる遊学のような意味合いが強かったか
ら、同行は尚更だ。
もちろん事前に西園寺には絶対行かないと宣言してあった。
なのに。