The side of Paradise ”最後に奪う者”

  *

病院で叔母に会うと、涙を流して喜ばれた。


「ありがとう」


従兄弟の達馬に礼を言われて肩をすくめた。


「この顔がこんなに役に立つとは思わなかった」


小さい頃から時々会っている年上の従兄弟は、彼女が本当に母親にそっくりで、妖しい美人になってきたことは言わずに笑った。

この後はさやかに付き合って日本でのあいさつ回りをし、NYに発つ予定だった。

休職中というよりも、ダバリードによる遊学のような意味合いが強かったか
ら、同行は尚更だ。

もちろん事前に西園寺には絶対行かないと宣言してあった。

なのに。
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