The side of Paradise ”最後に奪う者”
「横になれるよう、どこか応接室を空けましょう」
綺樹はその考えが気に入った。
さやかの相手を涼はせざる得ない。
どこか違うところに居て、顔を合わせず、終わればとっとと帰ればいい。
「お願いします」
綺樹がにっこり笑うのに、さやかは呆れていた。
車を降りると見なくとも、空気で涼がどこにいるかわかった。
ああ、嫌だ嫌だ。
二度と会うことも無いと宣言しておいて、自分から姿を現すなんて。
最悪だ。
実は私は気があるみたいじゃないか。
綺樹は一層のこと歩き去ろうかと思った。
成介が涼に耳打ちしたらしい。
香りで涼が傍らに立ったのに気がつく。