The side of Paradise ”最後に奪う者”
「お加減が悪いとか。
医者を呼びましょうか?」
「大丈夫です。
どこか別室をお借りしますので」
視線を伏せたままぶっきらぼうに答えると、成介の方に向かって歩き出す。
「さっさと部屋に案内してくれ」
周囲に聞こえないように低く、投げつけるように言うのに、成介が笑いをかみ殺している。
主流から分かれて、綺樹はやっとほっとしたように息を吐いた。
「仮病を使うなんて子どものすることです」
「うるさい」
噛み付くように答えた。
「何度、はめられていると思う?
契約に接待に、今回だ。
相手がさやかじゃなきゃ」
本当に気分が悪く、頭が痛むのに押さえた。