The side of Paradise ”最後に奪う者”
11.天国
*
態度は変わらなかったが、2、3日は成介と視線を合わせようとしなかった。
成介は早急にどちらかの結論がつかなければ、西園寺は潰れるのではないかと本気で思うようになってきた。
「国が傾くではなくて、会社が傾くだ」
呟いて電話をすることにした。
「本当に困っているんです」
綺樹はしばらく無言だった。
「公私混同する奴なんかに会社を任せるからじゃないか?
退任させてしまえよ」
「させてもいいですけど、そうなった時、あの人どうなりますかね。
身内の生きる屍はあまり見たくありませんね。
あなただって予想できるでしょう」
「ようは、私に受け入れろって言うんだろ。
でも今の涼の状態で受け入れたって、昔の繰り返しだ。
その場合だってボロボロになるんじゃないか?」