The side of Paradise ”最後に奪う者”
とうとうこういう終着をつけてしまった。
絶望と苦しみと悲しみで、抱きしめている腕が震えた。
息を吸うのがこんなにも困難だとは思わなかった。
涼は上体を起す。
「すいません」
そういう言葉は無いと思ったが、他に言いようが無かった。
ベッドから降りる。
どうしようもない関係の終わりに、脱力感か無力感かに支配される。
涼は自分のシャツを拾い上げた。
ボタンを留める気力も無く、ただ肩にかけた。
「あなたを」
唾を飲み下す。
「忘れます」
涼が最後部屋のドアを閉める瞬間も、綺樹の背中は微動だにしなかった。