The side of Paradise ”最後に奪う者”

インドの携帯事業が一息ついたら、少し休暇を与え、涼との生活を楽しませてやろうと思っていた。

こういうことになろうとは。

さやかは電話の相手が出るのを待つ。


「はい」

「私よ」

「女王か。
 綺樹がどうかしたか?」


フェリックスの言葉にさやかは笑った。

相手だけに単刀直入に聞く。


「綺樹の今度の結婚相手はあなたなのかしら?」


これだけぞっこんなのだから。

だがフェリックスの沈黙は奇妙だった。

さやかはそうでないことをそれで知った。


「誰なの?」
< 18 / 819 >

この作品をシェア

pagetop