The side of Paradise ”最後に奪う者”
背後にドアの閉める音がする。
途端、がたりと大きく震えた。
全速力で駆け抜けた後のように呼吸が荒くなる。
綺樹は発作のように震える体を抱きしめた。
「Help」
思わず言葉がもれた。
封じていた過去が蘇り始める。
綺樹は歪む視界の中、ベッドから落ちる様に下りた。
這いずりながら進むと、チェスとの引き出しを引き抜く。
転がった錠剤のビンを掴んで蓋を開け、直に口をつけた。
むせながら飲み込んでいく。