The side of Paradise ”最後に奪う者”
毎朝、朝一にその日のスケジュールを口頭で伝えるのだが、必ずアルコール
の匂いがしていた。
だが、それを言うのも憚れた。
何日経っても様子は変わらなかった。
不機嫌と不愉快そうな表情の手前で、ほとんどしゃべらなくなった。
自分の意見と違う者や、部下のミスに容赦が無くなった。
思いやりも気遣いも優しさも無い。
自分の仕事は完璧になった。
だが、これって上に立つものとしてどうだ。
成介は頭が痛かった。
恐慌政治だ。
会社全体に社長の状態が伝わる前になんとかしないといけない。
決着をつけてくれたのだから、もう頼るべきではないとも思っている。
でも時間が解決するように思えないのだ。
成介は全く気が進まなかったが、電話をかけざるえなかった。