The side of Paradise ”最後に奪う者”
電話の向こうがため息をついている。
「国王から。
招待がかかっている」
あまりの突飛さにさやかの眉が上がった。
「なんですって?」
「あの女は、ああいう性格だろう。
表面は愛想よくするが、中は鼻先で笑っている。
それが時として魅力に働く。
しかもこの間会った時は涼との問題の後だ。
未亡人的な色気で完全にアウトさ」
フェリックスは投げやりの調子だった。
「国王からのお茶会だの、食事会だの、招待状が山のようだ。
そっちの仕事で断っているが、どこまで持つかわからん。
しかも一族の石頭連中は、国王の愛人として子どもでも出来ればと、無様にはしゃいでいる」
さやかも思わずため息をついた。
「近代社会の到来に気付かなかったのかしら?
彼も懲りないわね。
この間、女連れでアフリカ旅行をしていたのが暴露されたばかりじゃない。
差し出すの?」