The side of Paradise ”最後に奪う者”
13.リベンジ
*
涼からの電話では、キャンパスを案内して欲しいということだったから、大
学の目立つ建物の前で待ち合わせた。
そこへ向かいながら迷っていた。
今ならすっぽかせる。
くちびるに力を入れる。
いや、やらなくちゃいけない。
今までのことを無駄にしないならば。
あれほど苦しみ続けたことを無駄にしない。
一つ呼吸して俯きがちだった顔を上げた。
建物の前に涼が立っているのが見えた。
人が行きかうのをじっとみている。
何を考えているのだろうか。
自分が来るのを探しているような感じではなかった。