The side of Paradise ”最後に奪う者”
5.最初のつまづき

   *

やっと携帯事業が落ち着きを見せ始めていた。

ハードウェアについても、ソフトウェアについても大筋が決まり、細部は部下に任せて、後は要所要所でトップが押さえればいい。

綺樹がさやかに報告をしにきていた。

いつもよりも顔色が青い。

ほっとして疲れが一気に出たのか。

さやかは綺樹が時々息を詰めるのに気が付いた。


「何処か痛いの?」


上司ではなく、従姪としての口調に綺樹はかろうじて微笑した。


「昨日からずっとわき腹の下が痛くて」
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