The side of Paradise ”最後に奪う者”

「どっち?
 盲腸じゃないわよね」

「違う。
 出血しているから、ひどい生理痛だと思う」

「珍しいわね、あなたが」

「そうだね、久しぶりだし」


さやかはある考えに一瞬息を止めた。


「医務官を呼ぶわ」


綺樹は肩に入っていた力を抜いた。


「横にならせて」


体調不良がばれてしまうと、気力が無くなったのか体をそのまま倒した。

診察はさやかの感を裏付けた。


「綺樹。
 病院に行くわよ」

「病院?」


閉じていた目を開けた。


「痛み止めじゃ駄目なの?」

「無理よ。
 流産しかかっている」
< 26 / 819 >

この作品をシェア

pagetop