The side of Paradise ”最後に奪う者”

「いつでも。
 祥子おばさんの容態も予想より良くて、結構自由が効きそうだよ」

「じゃあ、今夜は?」

「今夜?」


綺樹が驚いて鸚鵡返しに繰り返した。


「それは随分急だな」


涼は詰まった。

この間会ったのは1ヶ月前だし、寝たのは3ヶ月前なんだから急ではない。

とは、絶対に言えない。

遠距離恋愛相手じゃないんだ。

涼は落ち着かせようと額に手をやり目を閉じた。


「もう一度聞きますが、いつが都合がいいんですか?」


勢い語調が丁寧になる。
< 280 / 819 >

この作品をシェア

pagetop