The side of Paradise ”最後に奪う者”
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前倒しで仕事をしたにもかかわらず、待ち合わせ時間に遅刻だった。
大学に提出のレポートが重なったのが痛かった。
北野の家の車に送ってもらうらしいが、それでも久しぶりの日本なのに分かりやすいよう、海外が拠点のコ
ーヒーショップを待ち合わせ場所にした。
店に近づくとその姿を外のテーブル席に見つけた。
白い麻のシャツになす紺のフレアースカート。
膝から下が見える足を組んでいる。
確かに目の保養だ。
コーヒーショップに出入りする男どもが、何人も視線を投げていた。
そして既に傍らには、わざわざ洗いこんで着崩したシャツに短パン姿の男が立っている。
綺樹はほんのり微笑し、斜めに見上げて、物静かにしゃべっていた。
二人の会話は英語だ。