The side of Paradise ”最後に奪う者”

   *

前倒しで仕事をしたにもかかわらず、待ち合わせ時間に遅刻だった。

大学に提出のレポートが重なったのが痛かった。

北野の家の車に送ってもらうらしいが、それでも久しぶりの日本なのに分かりやすいよう、海外が拠点のコ
ーヒーショップを待ち合わせ場所にした。

店に近づくとその姿を外のテーブル席に見つけた。

白い麻のシャツになす紺のフレアースカート。

膝から下が見える足を組んでいる。

確かに目の保養だ。

コーヒーショップに出入りする男どもが、何人も視線を投げていた。

そして既に傍らには、わざわざ洗いこんで着崩したシャツに短パン姿の男が立っている。

綺樹はほんのり微笑し、斜めに見上げて、物静かにしゃべっていた。

二人の会話は英語だ。
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