The side of Paradise ”最後に奪う者”

「へえ、おまえがそこまで惚れるなんて珍しいな。
 で、どうして別れたんだ?
 捨てられたのか?」


今なら違う切り替えし方だっただろうが、あの時の涼はまだ若かった。

涼が顔を向けて、皿を瞬の前に投げるように置いた。

肉が飛び跳ねた。


「家にいる。
 妻だ。
 手を洗ってくる」


涼が姿を消して、誰かが口笛を低く吹いた。


「珍しいな」

「だけど、あいつのところ政略結婚じゃなかったか?
 夫婦仲が悪いと、もっぱらな噂だぞ。
 家に殆ど帰ってないらしい。
 話があわないな。
 嘘か?」


仲間の一人が首を傾げる。
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