The side of Paradise ”最後に奪う者”

    *

聞きなれない音にふと眠りから醒めた。

じっと伺う。

波の音か。

日の出にはまだ間があるらしく、暗いというよりは海の中のように深い青色だった。

側に温かみが無いのに、涼は更にまぶたを引き上げた。

身を起すと羽織るものを探す。

どこにいるんだ。

建物がL字になっているのでガラス窓越しに、ガラス張りのキッチンダイニングの方を見ると、ベランダにいた。

L字の前は広い木のデッキになり、縁は全てベンチの造りで囲んでいる。

その端っこの方で両足をあげて座り、上体をひねって海を眺めていた。

時々オレンジ色が点るのに、煙草を吸っているらしかった。

とりあえず居場所がわかると、涼は極度の空腹と喉の渇きにキッチンに向かった。
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