The side of Paradise ”最後に奪う者”
涼はもうあの肌に触れたくなって、窓を開けるとベランダに出た。
波の音が大きくなる。
近寄っても足音は聞こえないようだった。
心静かな横顔。
「ずいぶん早起きだな」
少しびくりとして振り仰ぎ、遅れてゆるやかに微笑した。
「ああ、驚いた」
年頃の女性がする綺麗な微笑だった。
「波の音で目が覚めて、日の出が見れるかと思って出てみたんだ」
綺樹は涼のバスローブ姿を眺めた。
きっちりとした肩の線に、手足は骨にしっかりと筋肉がつき、細いだけじゃない。
好みの体で、本当においしそうだ。
綺樹は、太陽が見えるかと地平線をじっと見つめている涼の顔を仰いだ。