The side of Paradise ”最後に奪う者”
涼は目を閉じる。
一つ深呼吸をした。
倒れてから、ずっと付いていたのはこちらの勝手だ。
知人関係にするのが双方の同意だった。
「いや。
電話が出来るぐらい元気になってよかった」
「おかげさまで」
綺樹の社交辞令に苦く笑った。
もう会わない方がいいな、と涼は思った。
声を聞くだけでも、理性が揺らぎ始める。
会えば、もっとと思うようになり、それがまた葉山みたいになる。
「日本に来たときには、また連絡をください。
食事でもしましょう」
「でも、の含みは何?」
日本に来るときの会話を思い出して、二人して息を吐くように笑った。