The side of Paradise ”最後に奪う者”

   *

その時に部屋に色々な機械が運び込まれ、脈拍などをとる機械をつけられたのは何かの検査だと思っていた。

マスクをかけられ眠らされるときに、長年、身の危険に置いてきただけに感が働いてストップをかけようとしたが遅かった。

悲鳴を上げ続けています。

連絡が入り、さやかが駆けつけた時も絶叫が続いていた。

看護婦がなだめているが効き目がないらしい。


「綺樹」


さやかが綺樹を抱きしめた。

綺樹が妊娠していることを気付いているとは思わなかった。

まだ体調に伺わせるような兆候すら出ていなかっただろうに。


「戻ったのに。
 だから戻ったのに」


叫んで嗄れてしまった声で息も絶え絶えに呟いた。
< 528 / 819 >

この作品をシェア

pagetop