The side of Paradise ”最後に奪う者”

「あなたたちが綺樹に対して、真面目にそれを論じる位の認識しかないから、渡したくないのよ」


もの凄く嫌味たっぷりだった。


「でもあえて協力を求めてきたというのは、どういう状況なんですか?
 あなたが隠しているというのに、それでは済まないということですよね?」


成介が動じずにかえした。


「今は、こちら側は誰も綺樹の側につけないのよ。
 でもそちら側はつけるでしょう。
 ついて上げて欲しいの」

「ついていないといけない状態ってなんです?」


涼が静かに聞いた。


「自殺、謀ったの」


二度目の、背筋の冷たくなるような沈黙だった。
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