The side of Paradise ”最後に奪う者”

「あの子が拳銃を隠しているのは知っていたから、空砲にしておいたのよ。
 だから大事には至らなかった」

「何だって、処分しとかなかったんですか」


語気荒く涼が言葉をさえぎった。


「そうしたら新しいのを手に入れるでしょう?
 本当に実弾入りの」

「だったらなぜ、自殺を食い止めなかったんです」

「自殺未遂よ」


さやかは冷静に訂正した。


「今、それを言い争ってもしょうがなくないですか?」


成介はため息をついた。


「大事には至らなかったとはいえ、つきっきり着いていなければいけないほど、重体なんですね?」


さやかは成介に視線を移した。

視線が合う。

さやかの口の両端が笑みを作るように持ち上がった。
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