The side of Paradise ”最後に奪う者”

成介は引き続き少し首をひねる。

よく、さやかが涼の元に送るのを決断したものだ。

取られると思わないのか。

自信があるのか、諦めたのか。

さすがの女王も自分の夫を付けることは、決断できなかったようだが。

手放すのを天秤にかけて、綺樹が負けたということか。

未だ怖いほどの沈黙を保ったままの涼を見下ろす。


「ところで。
 この件はお願いされたんでしょうか、命令されたんでしょうか」

「命令だろ」


椅子から立ち上がった。
< 563 / 819 >

この作品をシェア

pagetop