The side of Paradise ”最後に奪う者”
ドアに嵌っているガラスのスリット越しに綺樹が机に突っ伏しているのを見て、様子を見に来た成介は部屋に飛び込んだ。
首筋に指を当てて脈を確認して、ただ眠っているのに脱力した。
「驚かせないで下さいよ」
呟く。
発作かと思った。
でも若干脈が速い。
「失礼」
襟元から指を少し入れて背中を触る。
微熱か。
指に残った肌の感触を、手を握り締めて打ち消すと、成介は執務室に戻った。
「ミズ市川ですが、寝ています。
昨日来日して、今日は一日中、あんなところに閉じ込めておけば疲れるでしょう。
微熱が出ていますね」
涼はため息をついた。
机の上の書類を揃え、マウスを動かした。