The side of Paradise ”最後に奪う者”
「社長思いの優秀な秘書もやりすぎは良くない」
笑いながら目が襲い掛かるように光っている。
背広のボタンを留める。
「しかも実はその皮の下が、子煩悩な父親なのは、たちが悪すぎるな」
口端を片方少し持ち上がって、皮肉な笑いに変わった。
「返事は?」
成介は微笑したままだった。
「わかりました」
涼は低く笑い声をもらした。
「わかっていても、それとは別か?
分が悪いよ成介。
最終切り札は俺が持っているんだから」
涼は言い捨てて出て行った。
だから。
成介は涼のカップを給湯室の流しに下げた。
面白いんですよ。
その切り札をいかに切れなくするか。
封じ込めるか。
そして最後に、全てをいただく。
腕の見せ所です。
成介は静かに微笑した。