The side of Paradise ”最後に奪う者”
いつものように、まるで徹夜続きで寝てしまっているような感じだ。
机の上に突っ伏しているのを見て、涼はそう思った。
襟元から覗いている、うなじに触る。
38度まではないだろう。
待て、成介はどこで脈をとったんだ。
綺樹の両手は頭の下だった。
涼はくちびるを横に引いた。
あいつ、触ったな。
おまえも気が付け。
胸の中で毒づく。
「綺樹、帰ろう」
肩を掴んでゆさぶると、綺樹はゆっくりとまぶたを引き上げた。
そのままぼんやりと空中を見つめている。
「少し熱があるようだが、歩けるか?」
腕をとって引き上げた。
突然のことに綺樹はよろめきながらも立ち上がった。