The side of Paradise ”最後に奪う者”
18.ある意味、蜜月
*
熱は続いた。
大抵は一日でひくのに、今回はなかなか微熱が下がらない。
流石に会社には連れて行けず、西園寺で寝たきりだった。
「登社拒否じゃないですか」
成介はさらりと言った。
「朝になると、お腹が痛くなるのと同じです」
「熱は朝だけじゃなくて一日中だ」
「じゃあ、お疲れですね。
ずっと走り続けてきているんですから」
涼は何も言えなかった。
帰りにふと思いついて路面店のチョコレートショップに寄った。
「綺樹。
帰ったぞ」
ベットスタンドしか灯りがついていない部屋は薄暗かった。
締め切っている部屋は生暖かく、綺樹の使っているボディークリームの匂いが、いつもより甘ったるく漂っていた。