The side of Paradise ”最後に奪う者”

プラスティックのスプーンが動いて口に運ばれる。

いつものひらりとした動き。

というか、この香りをなんとかしないとあらぬ方向に行ってしまう。


「少し、空気を入れ替えるぞ」


涼は窓を開けた。


「うまいか?」


スプーンの動きが止まらないのに笑って聞くと、うなずいた。

綺樹にしては珍しい勢いで食べ終わると、ベッドから降りていく。

手でも洗いに行ったのだろうと思っていたら、閉まったドアの向こうからシャワーの水音が聞こえてきた。

驚いて慌ててドアを開ける。


「まだ止めとけ」


綺樹の白い背中にぎょっとしてドアを閉める。

これは。

違う意味で相当きつい。

涼は頭が痛かった。
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