The side of Paradise ”最後に奪う者”
「カルワリオ」
唐突にポツリと漏らしたのに、聞き落としそうになる。
「なに?」
綺樹はしっかりと目を開き、SoundDogを見つめていた。
「エリエリレマサバクタニ」
目元が緩む。
泣くのか?と思う途端に、綺樹は目を再び閉じていた。
いつもながら綺樹の言うことは理解不能だ。
眠りについた様子に、涼はため息をつくと、部屋を出た。
次の日に仕事中にふと思い出し、憶えていた数語を入れて検索してみた。
イエス・キリストが磔刑された丘。
そして最後の言葉。
“わが神、なぜ見捨てられたのですか”