The side of Paradise ”最後に奪う者”
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「どうだ、体調は?
今日もウダウダ寝てたか?
ま、その位、だらけた生活がおまえには丁度いい」
仕事から戻ってきた涼が罵倒ともとれることを言う。
「新聞は読んだか?
また円高が進んだぞ。
いいんだか、悪いんだか。
うちは輸入も輸出も両方あるからな。
どうしてほどほどにならないかな」
毎朝、毎晩、現れては、色々なことを話していく。
綺樹が答えない事に気を止めない。
まだしゃべり続けている涼の顔をぼんやりと眺める。
仕事もプライベートも多忙だろうに。
世話をかけているな。
迷惑なのに。
あの仕事、やり遂げてないな。