The side of Paradise ”最後に奪う者”

   *

「どうだ、体調は?
 今日もウダウダ寝てたか?
 ま、その位、だらけた生活がおまえには丁度いい」


仕事から戻ってきた涼が罵倒ともとれることを言う。


「新聞は読んだか?
 また円高が進んだぞ。
 いいんだか、悪いんだか。
 うちは輸入も輸出も両方あるからな。
 どうしてほどほどにならないかな」


毎朝、毎晩、現れては、色々なことを話していく。

綺樹が答えない事に気を止めない。

まだしゃべり続けている涼の顔をぼんやりと眺める。

仕事もプライベートも多忙だろうに。

世話をかけているな。

迷惑なのに。

あの仕事、やり遂げてないな。
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