The side of Paradise ”最後に奪う者”

   *

音楽が効いたのか、かぜの状態が治まっていくのと同時に、綺樹の状態も格段に戻ってきた。

波はあるが、回復は驚くばかりだった。

成介も涼の帰宅に時々同伴し、その度に、いい感じですねとコメントをしていた。

だが、久々に涼に泊りの出張を入れた夜、日付が変わる頃に、成介の携帯が鳴った。


「どうしました?」

「家に行ってくれ」


切羽詰った声だった。


「藤原からですか?」


成介は立ち上がって、クローゼットへ向う。
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