The side of Paradise ”最後に奪う者”

   *

電話を切った後、しばらくじっとしていた。

気がかりだったことの一つ。

見つからなかった婚姻届はそういうことだったのか。

思い出したように煙草に火をつける。

ふとデスクカレンダーが目に入った。

しばらく月の数字を見つめていた。

自分の不注意で流していなかったら。

今頃、家族ができて、3人で暮らしていたかもしれない。

でも現実はここに一人だ。

そしてこれは自分の選択だ。

私の愛した涼はあの日に死んだ。

死んだんだ。

あれは別人だ。

そっくりの。
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