The side of Paradise ”最後に奪う者”
「ありがとう。
研究室に運んだら今日は終わりにしよう」
「コピー、とるんじゃないのか?」
「時間が遅いから」
綺樹はポケットからカギをとりだして、部屋を出ると施錠した。
「明日、早く来てするよ。
いつまでも残っていると用務員の人が帰れないから」
「いい気遣いだ。
ダバリードも用務員制にしろよ。
早く帰るようになる。
さやかさんに言っておこう」
綺樹は口元をゆがめる様に笑った。
「システムを後退させてどうする」
エレベーターのボタンを押した。
なんとなくその自分の指を見た。
綺麗な爪をしていたな。