The side of Paradise ”最後に奪う者”
19.第3の男
*
仕事中に携帯が震えるのに見ると、珍しく瞬からの電話だった。
彼が就職してから、初めてじゃないだろうか。
「葉山の時はありがとう」
自分で言いながら、あの時の思い出に胸が痛んだ。
「まあ、貸しだからね」
不敵に笑っている。
「ミズウルゴイティは、しばらく来ないんだろ?
久々に破目外さないか?」
ウルゴイティでは無くなったとも、また戻って来ているとも言えない。
「ああ、そうだな」
涼は目を閉じた。
大学の書庫でのことを思い出す。
このあたりで息抜きをしないと、本当に襲いそうだ。