The side of Paradise ”最後に奪う者”
あれは見合い相手だろうか。
この頃、メディアでよく見る、韓国女優のように美人だった。
なめらかな肌をしていて、黒く光る長い髪。
生命力があって瑞々しかった。
背も高く、涼と並んでいて釣り合っている。
すれ違う人も思わず振り返るような組み合わせだった。
店のウィンドーに写る自分の姿を見て、綺樹は目をそらせる。
無様だ。
そう思った。
心臓も壊れかけ、精神状態もおかしくて、青白い顔に伸ばしっぱなしの髪をただ束ねて姿は浮浪者だ。
それか、気が違っているように見えるか?
そうだ。
気が違っているんだった。
プライドさえ無い。