The side of Paradise ”最後に奪う者”

  *

涼が研究室を覗くと、綺樹と高木と知らない男の3人で、英語でなにやら話し込んでいた。

知らない男がやけに熱心な質問に、綺樹が静かに答えていた。

邪魔かと思ったが、ノックすると綺樹が幾分かほっとした表情を見せた。


「お、馬車が来たな」


高木が手を上げて挨拶をした。

見知らぬ男は、じゃあまたと言って礼を言い、出て行った。


「あれは?」

「ああ、経済学部長。
 市川にハーバードの実情を色々聞きに来ていた。
 日本では大学経営も厳しいからな、特色を出さなくてはいけない。
 なにか得るものが無いかってね」


高木はコンピュータの前に椅子をひきずっていき、仕事を再開させた。


「上がっていいぞ~」


綺樹はうなずき、涼にちょっと片付けてくると言い残して出て行った。
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