The side of Paradise ”最後に奪う者”
本当に不思議だ。
何度も一緒に朝を迎え、朝食をとる関係になるとは。
少し前だったら、絶対にありえないタイプだ。
綺樹は指先についたパンくずを皿に落としながら、冬特有の白っぽい朝を窓から眺めていた。
NYは今の季節はもっとグレーだ。
「どうしたの?」
「ん?
NYは寒いだろうなと思って」
綺樹は皿に視線を落として、フォークを手に取った。
「帰るの?」
「帰るよ」
「いつ?」
「早急に」
綺樹はにっこりと笑った。
「女王から日本を出ていいお許しが出たら」
「誰だって?」
「さやか・ダバリード。
私の上司」
瞬はしばらく綺樹の顔を見つめていた。