The side of Paradise ”最後に奪う者”
「日本には仕事で?」
綺樹はフォークを止めた。
「あなたの予定を聞いている分には、ダバリードの仕事がみあたらない」
綺樹はふっと笑った。
「ダバリード辞めたから」
瞬はますます、わからなくなっているようだ。
「辞めたけど、彼女は従姪であり、私の支配者なんだ。
なぜなら女王だから。
一度、会えばわかるよ。
こればっかりは、いくら説明しても言葉では難しい」
「じゃあなぜ、彼女はあなたを日本に?
仕事をさせるわけではなくて」
綺樹が無表情に黙り込むのを見ていた。
「しゃべりたくなさそうだね」
「そうだね」
綺樹はよどんだ空気を振り払うように、明るい口調に変えた。