The side of Paradise ”最後に奪う者”

「意外なラインナップだね」

「その意外って?」


瞬が突っ込む。

綺樹はくつくつと笑った。


「およそ外見からは想像できない勤勉家」


瞬は大げさにため息をついて見せた。


「ひどいんだよねー、両親。
 入社したらいきなり法務部に配属して。
 だったら法学部に行けと言えばいいのに、何も言わないからこっちは当然、経済学部にいくじゃない。
 文句を言えば、相談しなかったろ、と一言だよ。
 一から勉強しなおしだよ」


綺樹は微笑した。


「期待して頼りにしているんだね」


瞬は探るように綺樹を見る。


「法務部は会社の重要な部分だ。
 地味に黙々と仕事をしている」

「まあ僕は三男だしね。
 兄貴たちのサポートが出来ればいいんでしょ」

「おや、珍しくひねくれた発言だね」


綺樹は指を伸ばして瞬のこめかみをなぜた。
< 718 / 819 >

この作品をシェア

pagetop