The side of Paradise ”最後に奪う者”
「意外なラインナップだね」
「その意外って?」
瞬が突っ込む。
綺樹はくつくつと笑った。
「およそ外見からは想像できない勤勉家」
瞬は大げさにため息をついて見せた。
「ひどいんだよねー、両親。
入社したらいきなり法務部に配属して。
だったら法学部に行けと言えばいいのに、何も言わないからこっちは当然、経済学部にいくじゃない。
文句を言えば、相談しなかったろ、と一言だよ。
一から勉強しなおしだよ」
綺樹は微笑した。
「期待して頼りにしているんだね」
瞬は探るように綺樹を見る。
「法務部は会社の重要な部分だ。
地味に黙々と仕事をしている」
「まあ僕は三男だしね。
兄貴たちのサポートが出来ればいいんでしょ」
「おや、珍しくひねくれた発言だね」
綺樹は指を伸ばして瞬のこめかみをなぜた。