The side of Paradise ”最後に奪う者”
「外見も性格も派手なんだ。
仕事ぐらい地味じゃないとね。
まあ、私だったら広報に行かせるけど。
会社の宣伝にはもってこいだ。
ただあなたは三島だからね。
お兄さんたちが、どういう人か知らないけれど。
下手すると彼らを食ってしまう。
その辺りをご両親も考えているんだろうね」
「見てみる?
なんなら家族全員」
綺樹はちょっと鼻にしわをよせた。
「ごめんこうむる」
瞬は予想できた答えに笑うしかなかった。
「どう、このバッハのイギリス組曲?」
色々と思うところのある、仕事の立場の話は離れたかった。
「生真面目だね。
日本人らしい演奏だ。
楽譜どおり。
もう少し遊びがあったほうが好き」
「母なんだけど」
容赦ない言い方に苦笑する。