The side of Paradise ”最後に奪う者”
20.優秀な秘書
*
予想していた通り、次の大学への送迎には成介が現れた。
「忙しいのに、ごめんな」
「いえ」
車の中が暖かいのに、ほっとして綺樹は体の力を抜いた。
「社長が忙しくて、代わりに行ってくれと頼まれたのですが、予想していたようですね。
喧嘩しました?」
綺樹は苦笑いをした。
「うん、まあ」
「どうしてですか?」
成介はため息をついて座席に寄りかかった。
「うん。
男と寝た上に、男の家に泊まりこんでいてね」
目をむいて見ている。
「いや、そういう寝るじゃないんだけど。
まあ互いに全裸なことは確かだ。
とにかくそれがばれちゃってね。
NYに帰ってからにしろと怒鳴られた」
成介が頭を抱えている。