The side of Paradise ”最後に奪う者”

「別に私は怒っていないぞ。
 一方的に涼が切れているだけで。
 どうするっていうんだ。
 ごますって、ちやほやするか?」

「あの人、凄く欲求不満なんですよね。
 とんびに油揚げをさらわれた気分なんでしょう」


綺樹は自分のペリエに口をつけた。


「何言ってんだよ。
 この間、女と手を繋いで買い物をしているところを見たぞ」


話の内容に、成介は音を立ててグラスを置いた。


「かなりの美人だったし品もあった。
 社長夫人として問題ないんじゃないか?」


成介は何度目かのため息をついた。


「買い物、ですよね。
 火遊び相手としては丁度いいんですよ。
 金目当てで近づいてくる女性は。
 切りやすい」


綺樹に顔を向けた。
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