The side of Paradise ”最後に奪う者”
「それを見て、あなた男遊びに走りました?」
綺樹はグラスを手で挟んで回転させた。
「うん、それもあった。
けど、疲れてしまって」
ぽつりと心情が素直に吐き出た。
顔を上げて、キラキラと光って並んでいるグラスを見つめ、微笑した。
「あの部屋に一人帰って寝ることに。
ただ誰かに一緒にいて欲しかったんだ。
だけど涼が日本にいる間は許さないって。
NYに帰ってからにしろって。
だからもう帰ろうかと思う」
成介の表情が引き締まってから、緩んだ。
「社長に頼んでみたらどうですかね」
綺樹は薄く笑った。
「あいつは絶対しないよ。
保護者なんだから。
無事にNYに戻すことが使命なのさ」
「あの人、あなたに凄く欲求不満なんですが」
綺樹がただ笑っただけなのに、成介はまだ残っているグラスを押しやった、